派遣社員と就労ビザについて
正社員ではなく、派遣社員として外国人を採用した場合においても就労ビザの取得は可能です。人材派遣は、外国人労働者、派遣元会社、派遣先会社の三者の関係を理解することが重要です。
人材派遣の定義
人材派遣とは、自己(派遣元)の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人(派遣先)の指揮命令を受けて、当該他人(派遣先)のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させること約してするものを含まないものとする (労働者派遣法第2条第1号)
派遣元会社、派遣先会社、労働者との関係
- 派遣元会社と労働者:派遣元と労働者の間で雇用契約が締結されており、労働者は派遣先で派遣先からの指揮命令を受け労働を行います。派遣元は、賃金の支払いや年次有給休暇の付与等の責任を持ちます。派遣元が雇用主になります。
- 労働者と派遣先会社:労働者は派遣先において派遣先会社の指揮命令を受けて労働を行いますが、派遣先と労働者の間に雇用契約はありません。派遣先は労働時間管理や危険防止措置を講じるなどの責任を持ちます。
- 派遣元会社と派遣先会社:労働者派遣契約が締結されます。
登録型派遣と常用型派遣
- 登録型派遣:派遣労働を希望する労働者があらかじめ派遣元事業主に登録しておき、派遣時に一定の期間を定めて派遣労働者を雇用する場合が該当します。派遣就業の終了とともに、雇用関係は終了します。
- 常用型派遣:労働者派遣される労働者が、派遣元に常用雇用される方のみである場合が該当します。常用型派遣では、派遣就業の終了後も、雇用関係は継続します。
出所:厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/seisaku/08.html
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格と派遣社員
- 派遣の場合は、派遣元(雇用主)の業務ではなく、派遣先において行う業務内容が在留資格該当性や上陸基準適合性を満たすかどうかが審査されます。
- 在留期間内に派遣元との雇用契約に基づき、派遣先において「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性がある活動を立証します。
- 派遣元が労働者派遣法に基づく許可を受けていることが必要です。
- 派遣の場合は、とくに登録型の場合は契約期間が短期間であることがほとんどであり、活動の安定性・継続性について雇用契約と比べて不安定であるため、許可の可能性は低くなります。外国人労働者と派遣元企業との関係においては、雇用の安定性と継続性ついて説明が必要です。
- 労働条件通知書や雇用理由書の中で、外国人が派遣先で行う業務内容を明らかにし、かつ、大学等での専攻と業務内容の関連性についての詳細な説明をします。外国人労働者と派遣先企業との関係については、派遣先において行う業務内容が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格該当性がある活動をどうかを説明します。
- 例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が翻訳通訳の業務で派遣社員として働いている場合、原則として通訳翻訳以外の業務はできません。一般事務や雑用などの業務は単純業務とみなされ、不法就労になります。
業務請負契約の場合
- 業務請負と派遣契約は、指揮命令権がどこにあるかという点で異なります。
- 派遣契約の場合は、派遣先が外国人労働者に直接業務命令が出せます。
- 業務請負の場合には、注文者が外国人労働者に対して直接命令をすることはできません。請負会社が外国人労働者に対して業務命令を出すことができます。
- 業務請負の場合で、注文者が外国人労働者に対して直接命令をすると、偽装請負・偽装派遣とみなされる可能性があります。