配偶者ビザへの在留資格変更
在留中の外国人が現在行っている活動から別の在留資格に属する活動を行う場合においては、「在留資格変更許可申請」(ビザの変更)を行う必要があります。
留学ビザを持っている外国人が日本人や永住者と結婚し、引き続き日本で生活する場合、卒業後は配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に変更する必要があります。ただし、卒業後の就職先が決まっている場合は就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)への変更でも配偶者ビザへの変更のいずれでも構いません。配偶者ビザは就労制限がなく、職種・雇用形態を問わず就職ができるので、卒業後に日本で就職するのであれば、配偶者ビザを得て就職をしても問題ありません。
家族滞在ビザで日本に在留している外国人で日本人や永住者と結婚し、引き続き日本で同居を希望する場合は、配偶者ビザに変更しなければなりません。
就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、経営・管理、企業内転勤、技能など)で在留する外国人が日本人や永住者と結婚し、引き続き日本に在留する場合は、必ずしも配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に変更しなくても問題ありません。ただし、配偶者ビザは就労制限がなく、職種・雇用形態を問わず就職ができるので、ケースバイケースになりますが、配偶者ビザに変更するほうが望ましいケースもあります。
技能実習生と日本人が結婚後、引き続き日本に在留するケース、特定技能ビザと日本人が結婚後、引き続き日本に在留するケースについての説明も以下にて行っています。
「留学」、「家族滞在」などの就労ができない在留資格で在留しているケース
留学生が日本人と結婚する場合は、卒業を待って配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に変更を選択するケースが多いですが、在学中に配偶者ビザに変更しても問題はありません。
留学生が日本人や永住者と結婚するけれど、卒業後は就職をしない(就職先が決まらない)ケース、卒業後はパート・アルバイトをするケースでは、必ず配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に変更しなければなりません。
留学生が日本人や永住者と結婚し、卒業後に企業等に就職する場合については、配偶者ビザへの変更、就労ビザへの変更のいずれでも構いません。ただし、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務ビザ)は就労の制限があり、主として大学などで専攻した専門科目と関連する専門的な職種のみ就労が認められます。他方、専門性のある職種以外の就労は認められず、知らないうちに不法就労を行ってしまう恐れもあります。配偶者ビザの場合は日本人と同様に就労制限がなく職種を問わず就労ができるので、不法就労になる心配はありません。
留学生については、学校の出席率が悪かったり、学校を退学した、資格外活動許可の範囲(週28時間内)を超えてアルバイトをしていた、重い交通違反等をした、入管法に定める届出等の義務を怠っていたなど、審査において在留状況が不良と判断された場合は、ビザの変更が認めらない可能性もあります。
⇒資格外活動の許可
家族滞在ビザで在留する外国人が日本人・永住者と結婚した場合は、婚姻後は必ず配偶者ビザ(日本人の配偶者等・永住者の配偶者等」に変更しなければなりません。資格外活動許可の範囲(週28時間内)を超えてアルバイトをしていたなど在留状況が不良と判断された場合は、ビザ変更が不許可になる可能性があります。
「技術・人文知識・国際業務」や「企業内転勤」などの就労系の在留資格を得ている場合
外国人配偶者が就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、企業内転勤など)を得て日本で生活しているケースにおいては、配偶者ビザへの変更は必ずしも必要ではありません。
配偶者ビザのメリットは、就労制限がなく、職種に束縛されなることなく就労が可能であることです。
日本人や永住者と結婚している外国人には、永住権申請の要件が大幅に緩和されています。永住権の申請の主な要件として、3年ビザ(在留期間3年)以上をもっていること、結婚後の同居生活が3年以上継続していること、日本継続在留が1年以上であることなどが求められます。配偶者ビザに変更が許可されると、初回と更新1回目は1年ビザが許可されるケースがほとんどなので、就労ビザで既に3年ビザをもっている場合は、配偶者ビザに変更せず、要件を満たした段階で永住権を申請するほうが望ましいです。なお、管轄の地方出入国在留管理局(出張所)によっては、就労ビザからの永住申請については原則通り10年日本継続在留が求められる場合があります。⇒永住権の申請(配偶者ビザから)
就労ビザで働いていて、結婚後に仕事を辞めた場合で再就職をせずに専業主婦になる、出産・育児をする、しばらく仕事をしない、結婚後はパート・アルバイトで働くといったケースでは必ず配偶者ビザに変更しなければなりません。
技能実習、特定技能と配偶者ビザ
技能実習生と日本人が結婚し、技能実習期間修了後も日本で婚姻生活をしたい相談を受けることがあります。実習生が妊娠をしているなどの特別な事情がある場合には、本国へ帰国せずに管理団体や所属機関より結婚の承諾書を発行してもらい、結婚手続きを完了させ、配偶者ビザ(日本人の配偶者等)へ在留資変更申請が受理されるれることもありますが、一般的には、技能実習期間が修了したら、一度本国に帰国してから配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の在留資格認定証明書交付申請を行います。⇒技能実習生との結婚と配偶者ビザ
特定技能ビザで働いている外国人と日本人が結婚した場合は、本国に帰国する必要はなく、配偶者ビザ(日本人の配偶者等)に在留資格を変更することができます。特定技能1号であれば在留期間が5年間で終わってしまうこと、永住権の申請において日本在留実績がカウントされないことなどを鑑みて、配偶者ビザに変更申請をすることを強くお勧めします。
再婚禁止期間
日本の民法に女性のみ再婚禁止期間が規定されています。女性は離婚後100日を経過しないと結婚ができない規定になっています。(医師の診断書があれば再婚禁止期間内で婚姻できる場合あり)
一方、女性配偶者の本国の法律にも再婚禁止期間の規定がありますが、その国の規定で例えば9カ月とされていれば、国際私法の規定により9カ月が待婚期間として適用されます。そのため、相手の方の国の再婚禁止期間を確認する必要があります。
再婚禁止期間を過ぎれば日本の市区町村役場に婚姻届を提出できます。⇒再婚禁止期間について
配偶者ビザへの変更の審査について
在留資格の変更許可について、出入国在留管理庁のホームページよりガイドラインが公表されており、下記①~⑦の事項を中心として審査が行われます。
ガイドラインについては、こちらで解説を行っています。
①在留資格該当性
②法務省令で定める上陸許可基準適合性(配偶者ビザは対象外)
③素行が不良でないこと
④独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
⑤雇用・労働条件が適正であること
⑥納税義務を履行していること
⑦入管法に定める提出等の義務を履行していること
特例期間について
在留期間内に適法に在留資格変更の申請を行ったものの、在留期間内に許可又は不許可処分が決定されない場合について、在留期間の満了日までに審査結果が出ないときは、申請人は許可または不許可処分の日、又はその満了日から2か月内は適法に在留できます。すなわち、処分されるまで最長2か月間は日本に適法に在留が可能です。
在留資格変更が不許可となった場合は、引き続き在留ができないため、日本から出国しなければならなくなります。この場合、申請人は入国管理局に出頭し審査官より出国の意思を確認された上で、短期滞在に在留資格が変更され、適法状態で出国させる運用がとられています。
在留資格変更が不許可になった場合には、特定活動(出国準備期間)に在留資格が変更され、再申請が可能かどうかについては審査官に事前確認が必要になります。
当事務所では、不許可からの再申請を承っております。⇒配偶者ビザが不許可になったら
必要書類 在留資格変更許可申請(日本人の配偶者)
1 在留資格変更許可申請書 1通
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
3 配偶者(日本人)の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
※ 申請人との婚姻事実の記載があるもの。婚姻事実の記載がない場合には、戸籍謄本に加え婚姻届出受理証明書を提出
※ 発行日から3か月以内のものを提出4 申請人の国籍国(外国)の機関から発行された結婚証明書 1通
※ 申請人が韓国籍等で、戸籍謄本が発行される場合には、お二方の婚姻が記載された外国機関発行の戸籍謄本の提出でも差し支えありません5 配偶者(日本人)の方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
※ 配偶者(日本人)の方が申請人の扶養を受けている場合等、上記5を提出できないときは、申請人の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)を提出します。
※ 発行日から3か月以内のものを提出。6 配偶者(日本人)の方の身元保証書 1通
※ 身元保証人は、日本に居住する配偶者(日本人)がなります
7 配偶者(日本人)の方の住民票(世帯全員の記載のあるもの) 1通
※ 個人番号(マイナンバー)については省略し、他の事項については省略のないもの
※ 発行日から3か月以内のものを提出8 質問書 1通 ⇒質問書の書き方
9 スナップ写真(夫婦で写っており、容姿がはっきり確認できるもの)2~3葉
10 パスポート 提示
11 在留カード 提示
※ 申請後の審査の過程において、上記以外の資料が求められる場合あり。
※ 提出書類が外国語で作成されている場合には、訳文(日本語)の添付が必要。
※ 原則として提出された資料は返却されないため、再度入手することが困難な資料原本等の返却を希望する場合は、申請時に申し出ます。以上は、出入国在留管理庁のホームページに基づく情報です。