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認知について

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  • 日本では、非嫡出子の親子関係を成立させる行為として、認知主義が採用されています。母子関係は出産の事実により当然として認知の行為は必要ありません。
  • しかしながら、父子関係については、認知の行為が必要になります。外国人と日本人との間に生まれた子どもは、法の適用に関する通則法29条より、父子関係の成立を子の出生当時の父の本国法としていることから、日本の民法が適用されます。
  • 認知は、非嫡出父子関係を成立させ、扶養請求権や相続権を発生させるだけでなく、日本人父と外国人母から生まれた非嫡出子が日本国籍の取得を行ったり、胎児認知により日本国籍を取得するために非常に重要です。

認知の準拠法

実質的成立要件

  • 認知は、①子の出生の当時若しくは認知の当時に認知する者の本国法または②認知当時の子の本国法のいずれの法によってもすることができる。
  • ただし、上記①の認知する者の本国法による場合は、子の本国法がその子または第三者の承諾又は同意を条件とするときは、その条件をも備えなければならない(これを子の本国法上の「保護要件」という)。(通則法29条
  • 胎児を認知する場合の胎児の本国法については、子の本国法を母の本国法と読み替えて適用する。

形式的成立要件

  • 形式的成立要件は、認知の成立の準拠法によるほか、行為地法に適合する方式によることもできる(通則法34条)。
  • したがって、認知の方式は、①子の出生当時若しくは認知当時の認知する者の本国法、②認知の当時の子の本国法又は③行為地法のいずれによることもできる。

認知の種類

任意認知
「任意認知」は、婚姻外に生まれた子どもを血縁上の父親が自ら自分の子であることを認める行為です。①出生後の認知と②胎児認知があります。
①出生後の認知
外国人の母親が非嫡出子を出産後、日本国籍である父親が認知をすることにより、法律上の父子関係が生じます。この認知の届出が行われると、日本人父の戸籍に認知事項が記載されます。
②胎児認知(民法783条)
胎児認知とは、出生前に胎児を父親が自分の子であると認知することです。胎児認知の場合、子は出生の時点で日本国籍を取得します。胎児を認知するときは、母親の承諾書が必要となります。

裁判認知
「裁判認知」は、父が自ら認知しないときに、非嫡出子が父に対して認知の訴えを提起し、裁判所が客観的に父子関係の存在を認定にして行う認知です。また、法律上の婚姻関係にない父母から出生した子を父が認知しない場合、家庭裁判所の調停手続を利用して、父に対して認知を求める調停を申し立てることができます。 

認知をする者=父親が日本人の場合

  • 日本人父と外国人母との間に生まれた非嫡出子を日本人父が認知する場合は、通則法29条により、父子関係の成立を子の出生当時の父の本国法としていることから、日本の民法を適用することができます。
  • 胎児認知の場合は、母親の同意書が必要になります。母が外国籍の場合は、母の住所地に、母が外国にあるときは、届出人である認知をする父親の本籍地、所在地に届出をします。胎児認知届の届出期間は母親が妊娠してから出産するまでです。父親も外国に住んでいる場合は、在外日本大使館に胎児認知届をし、さらに出生後3ヶ月以内に嫡出子でない子の出生届を忘れずに必ず届け出ます。胎児認知をしておけば、婚姻しないまま生まれた子どもに、出生と同時に日本国籍を取得させることができます。その他、胎児認知においては、外国籍の母親の独身証明書や出生証明書の提出が求められます。出生後の認知は、手続き上非常に煩雑になる場合があるので、胎児認知届を行うべきです。
  • 出生後の認知においては、子の保護要件を備えている必要があり、「子の保護要件を満たしている旨の証明書」の添付があれば、認知の届出が受理されます。
  • 子の本国法が事実主義を採用している国(フィリピン、ニュージーランド等)の場合は、同証明書の提出は不要です。
  • また、未成年の子が韓国人、台湾人、本土系中国人の場合は、子または第三者の承諾・同意は不要です。

タイ人婚外子を認知する場合

胎児認知について

タイには胎児認知の制度はなく、保護要件の規定が存在しないため、日本人父がタイ人母の胎児を認知する創設的認知届は日本の市区町村役場で受理されます。

出生後の認知について
未成年子がタイ国籍である場合には、タイの本国法の保護要件を備える必要があり、母及び子の同意が必要になります。

①タイ人子に意思能力がないと判断される場合
父がタイ国裁判所に対して子(母)の同意に代わる後見的許可を求め、裁判所からその許可を相当とする司法命令を得た(これで保護要件が充足される)上で、当事者(父・母・子)がタイ国郡役場にて、タイ国法に基づく認知登録をします。その後、日本側に認知届(報告的)を提出します。タイ人子に意思能力がないと判断される場合とは、認知の登録時において、名前を自分で書いたり、登録官と意思疎通ができない場合が該当します。

②タイ人子に一定の意思能力があると判断される場合
子及び母が認知届に同意する旨の署名をすることで保護要件が充足されるので、タイ国民商法に基づき、認知登録をした上で、日本側に認知届(報告的)を提出します。

③子の出生後、父母が結婚した場合(準正)
父母の結婚により、父の法律上の子として扱われ、タイ人子は嫡出子の身分を取得します。その結果、子の保護要件が不要になり、日本国民法に基づく認知届ができるようになります。(出生時に子が非嫡出子であることが確認できる書類が求められます。)

認知された子の国籍取得(国籍法3条)

  • 外国人と日本人の間に生まれた婚外子であっても、父母の婚姻を問わず、その子が20歳に達するまでに日本人によって認知されたときは、法務大臣に届け出ることによって、事後的に日本国籍を取得することができます。ただし、その届出をする場合において、虚偽の届出をした者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金(公正証書原本不実記載罪)等に処せられます。(偽装認知
  • 国籍取得届は、子どもの住所地を管轄する法務局または在外公館に届け出ます。ただし、日本国籍を取得するための届出によって、出生によって取得した母親と同一の国籍を失う危険があるため、母親の国籍国に留まりたい場合には、国籍取得届を提出しません
  • 国籍取得届は、届出人(子どもが15歳以上の場合は本人、15歳未満の場合は法定代理人がなります。)が届け先に出頭します。

添付書類

  • 父の戸籍謄本(戸籍には認知の事実が記載されていること)
  • 父母の申述書(認知に至った経緯等を記載したもの)
  • 母が国籍の取得をしようとする者を懐胎した時期に係る父母の渡航履歴を証する書面(父母のパスポート等)
  • 認知される子の出生登録証若しくは出生届記載事項証明書又は出生届受理証明書
  • その他

 

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記事の執筆者

989841

代表行政書士 深田秀樹
2013年4月 行政書士深田国際法務事務所設立 
国際結婚と配偶者ビザ専門の行政書士として10年以上活動する

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