養子縁組(日本人養親・外国人養子)
渉外養子縁組ついて、日本人養親と外国人養子との養子縁組について考えてみます。日本人養親と外国人養子との養子縁組は、以下の3通りに分けられます。
①日本人夫婦が外国人を養子にするケース
②日本人単身者が外国人を養子にするケース
③日本人が外国人配偶者の連れ子を養子にするケース
渉外養子縁組について、養親の本国法(日本国民法)及び養子の本国法と同様に重要な法律が、「法の適用に関する通則法」です。
法の適用に関する通則法
養子縁組
第31条 養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によれば、その者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
第2項 養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。
養親の本国法
日本人養親と外国人養子の縁組については、通則法第31条より、原則として日本法(民法)によります。すなわち、実親子関係が存続する普通養子縁組と、実親子関係を断絶させ原則6歳未満の子を養子とする特別養子縁組があります。
養子の保護要件について
養子の本国法が養子本人や第三者の同意・裁判所の許可などを要件とする場合は、その要件を満たす必要があります。
- フィリピン人を養子にする場合
裁判所の養子決定が必要になるため、家庭裁判所に審判の申立てを行います。実親の同意も必要です。 - 韓国人を養子にする場合
実父母、その他の直系尊属、後見人の順に同意権者とされています。 - 中国人を養子にする場合
養子が15歳未満である場合は、実父母の同意が必要です。養子が15歳以上の場合は、実父母の同意および養子本人の同意が必要です。 - 台湾人を養子にする場合
裁判所の許可が必要になります。家庭裁判所に審判の申立てを行います。 - タイ人を養子にする場合
日本人養親とタイ人未成年者とタイ本国法に基づき、養子縁組する場合、「タイ国養子縁組委員会」(Child Adoption Center)の事前許可を得る必要があります。同委員会の許可を得た上でタイ郡役場で養子縁組を成立させます。タイでの養子縁組成立後3ヶ月以内に日本側に養子縁組届(報告的)を行います。 - その他の国についても、養子縁組に関する本国法があり、多くの国で、裁判所の決定や許可が要件となっています。これらは家庭裁判所の審判により代行します。政府や養子縁組委員会等の許可についても、養子縁組の成立要件である場合には、家庭裁判所の審判により代行します。実親や第三者の同意の要否の確認も必要です。
日本での養子縁組
- 養子の本国法が裁判所の決定や許可を要件としている場合は、家庭裁判所の審判が必要になります。
- 外国人配偶者の連れ子と養子縁組をする場合は、養子の本国法が裁判所の許可を要件としていない韓国人や中国人を普通養子とする場合、市区町村役場へ養子縁組届出をするだけで済みます。
- 外国人配偶者の連れ子以外の未成年者との普通養子縁組は、家庭裁判所の審判が必要であり、養子の本国法が裁判所の決定や許可を必要としている場合は、それを代行する家庭裁判所の許可審判が必要です。
外国での養子縁組
- 外国で成立した養子縁組については、日本の市区町村役場に報告的届出を行います。
- 日本人養親の戸籍に養子縁組の事実が記載され、養子を日本に呼び寄せます。
6歳未満の養子と在留資格(告示定住)
- 外国人養子が6歳未満の場合は、養子縁組(普通養子縁組)をし、「定住者」の在留資格の申請を検討します。許可がでれば、日本で生活ができます。
- 養子の本国法で規定されている養子縁組の手続きが国ごとに異なっており、場合によっては非常に複雑な手続きをとる必要があります。
- 手続きに1、2年かかる場合もあり、養子縁組を行っても養子が6歳以上になれば「定住者」の在留資格は認められません。
- 特別養子縁組については、6歳未満の子供に対し家庭裁判所の審判によってで実の父母との身分関係を切り離し、養親との間に実の子同様の特別な関係が成立する養子縁組であり、この場合「日本人の配偶者等」の在留資格が認められます。
必要書類(日本人養親が外国人養子を日本に呼び寄せる場合)
1 在留資格認定証明書交付申請書 1通
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉
3 392円切手(簡易書留用)を貼付した返信用封筒 1通
4 【市区町村の役所(役場)から発行してもらうもの】
(1) 日本人の方の戸籍謄本(全部事項証明書) 1通
※ 養子縁組事実の記載がない場合には、戸籍謄本に加え養子縁組届出受理証明書の提出をします。
(2) 日本人の方の住民票(世帯全員の記載があるもの) 1通
(3) 日本人の方の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通5 【職業・収入を証明するもの】
(1) 日本人養親が会社に勤務している場合 日本人の方の在職証明書 1通
(2) 日本人養親が自営業等の場合
a 日本人養親の確定申告書の控えの写し 1通
b 日本人養親の営業許可書の写し(ある場合) 1通
(3) 日本人養親が無職である場合 預貯金通帳の写し 適宜6 【その他】
(1) 身元保証書 1通
※ 身元保証人には、通常日本人養親(申請人の扶養者)がなります。
(2) 申請人の本国(外国)の機関から発行された出生証明書 1通※ 必要に応じ、上記以外の資料を提出します