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相続と遺言(外国人の場合)

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相続と遺言(外国人のケース)

法の適用に関する通則法(通則法)

第36条 「相続は、被相続人の本国法による」

第37条 「遺言の成立および効力は、その当時における遺言者の本国法による」

日本人夫と外国人妻について、日本人夫の遺産を外国人妻が相続するケースや、日本人夫が遺言を作成する場合は、日本の法律が適用されます。

注意を要するのは、被相続人(故人)や遺言者(遺言を作成する者)が外国人のケースです。法の適用に関する通則法第36条および第37条より、被相続人=外国人の本国法を調べなければなりません。

例えば、中国人夫と日本人妻が日本で20年以上生活しており、中国人夫が遺言書を作成する場合は、通則法第37条より、適用される法律は夫の本国法である中国の法律になります。

中国の相続と遺言に関する法律には、

中国人が、中国国外にある遺産を相続する場合または中国国内にある外国人の遺産を相続する場合、動産については被相続人の住所地の法律を適用し、不動産については不動産所在地の法律を適用する

外国人が、中国国内にある遺産を相続する場合または中国国外にある中国人の遺産を相続する場合、動産については被相続人の住所地の法律を適用し、不動産については不動産所在地の法律を適用する

と規定されています。

中国人夫の遺産のなかで動産も不動産もすべて日本国内にあれば、日本の法律が適用されます。また、中国人夫の中国国内にある動産にも日本の法律が適用されますが、中国にある不動産は中国の法律が適用されます。

中国人夫の遺言がなければ、日本の法定相続分に基づき、遺産が分割されます。

すなわち、中国人夫に子供が2人いる場合は、日本人妻に遺産の2分の1、子ども1人あたり4分の1ずつ遺産が分割されます。

法定相続分について(国税庁ホームページより)

相続人の範囲や法定相続分は、民法で次のとおり定められています。

(1) 相続人の範囲
 死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。

第1順位
 死亡した人の子供
 その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。

第2順位
 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
 父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
 第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。

第3順位
 死亡した人の兄弟姉妹
 その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
 第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。

なお、相続を放棄した人は初めから相続人でなかったものとされます。
 また、内縁関係の人は、相続人に含まれません。

(2) 法定相続分

イ 配偶者と子供が相続人である場合
 配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2

ロ 配偶者と直系尊属が相続人である場合
 配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3

ハ 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
 配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

なお、子供、直系尊属、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
 また、民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

(民法887、889、890、900、907)

 

遺言については、通則法第37条により、中国人夫の本国法が適用されますが、「遺言の方式の準拠法に関する法律」の第2条より、下記①~⑤のいずれかに適合すれば、遺言の方式として有効とされます。本事例の場合は、中国人夫は日本で長年生活をしているので、日本の法律が適用されることになります。

第2条 遺言は、その方式が次に掲げる法律の一に適合するときは、方式に関し有効とする。

 ① 行為地法

 ② 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法律

 ③ 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法律

 ④ 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法律

 ⑤ 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

 

遺言の種類

遺言は、自筆証書、公正証書、秘密証書の3つの方法があります。

自筆証書遺言(民法第968条)

  1. 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
  2. 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

公正証書遺言民法第969条

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

  1. 証人二人以上の立会いがあること。
  2. 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
  3. 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
  4. 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
  5. 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

秘密証書遺言民法第970条)

  1. 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
    一  遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
    二  遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
    三  遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
    四  公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
  2. 第968条第二項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

遺言によって、法定相続分によらず、また、法定相続人以外の人物に遺産を相続させることができます。もっとも、法定相続人には遺留分があり、その遺留分については遺言書の内容に関わらず保護されます。

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記事の執筆者

989841

代表行政書士 深田秀樹
2013年4月 行政書士深田国際法務事務所設立 
国際結婚と配偶者ビザ専門の行政書士として10年以上活動する

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